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第45話 百合との出会い

Auteur: 釜瑪秋摩
last update Date de publication: 2025-08-20 09:10:07

 理玖の意識は、現在から過去へと静かに滑り落ちていった。

 凡そ百五十年前の春――狐燈坂の茶屋『富乃とみのや』。

 当時の理玖は今ほど人間社会に溶け込んではおらず、姿を変えることはできても、妖としての本性を隠すことにも不慣れだった。それでも椿京の結界を守る使命を果たすため、人里に降りてくることはあった。

 茶屋の奥座敷で、理玖は一人茶を啜っていた。外では桜が散り始め、薄紅色の花びらが風に舞っている。平和な午後のひとときだった。

「失礼いたします」

 凛とした女性の声が響いた。

 理玖が振り返ると、そこには白い巫女装束に身を包んだ女性が立っていた。年の頃は二十代半ば、容姿は理玖よりも年上に見える。切れ長の瞳には意志の強さが宿り、背筋をまっすぐに伸ばした立ち姿からは、芯の強さが感じられた。

「あの……同席しても? お一人でいらっしゃるようでしたので」

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